今回はドイツのワインの産地についてです。
ドイツワイン、特に白ワインはスーパーなどでも見かけることが多いので、ドイツの産地に関する知識はワイン選びに役立つと思います!
ドイツの概要
ドイツは西はフランスやベルギー、東はポーランドとチェコとオーストリアに隣接するヨーロッパの国です。
緯度が47~52度と高く、ブドウが栽培できるのは北緯50度までのため、ワインの産地のほとんどが南の方に集まっています。
ドイツを代表するお酒としてはビール、食事はソーセージやキャベツを乳酸醗酵させたザワークラウトなどが有名です。
主なブドウの品種
ドイツで栽培されている主なブドウの品種についてです。
<黒ブドウ>
- シュペートブルグンダー(Spätburgunder)=ピノ・ノワール
- ドルンフェルダー(Dornfelder)
- ポルトギーザー(Portugieser)
- トロリンガー(Trollinger)=フェルナッチ(Vernatsch)=スキアーヴァ(Schiava)
<白ブドウ>
- リースリング=ラインリースリング(Rheinriesling)
- ミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau)=リヴァーナー(Rivaner)
- グラウブルグンダー(Grauburgunder)=ルーレンダー(Ruländer)=ピノ・グリ
- ヴァイスブルグンダー(Weißburgunder)=ピノ・ブラン
- シルヴァーナー(Silvaner)
- ケルナー(Kerner)
ブルグンダーとはフランスのブルゴーニュのことで、〇〇ブルグンダーと付く品種はピノ(Pinot)系になります。
ドルンフェルダーは、ヘルフェンシュタイナー(Helfensteiner)とヘロルドレーベー(Heroldrebe)を交配した品種です。
ミュラー・トゥルガウ(=リヴァーナー)は、リースリング(Riesling)とマドレーヌ・ロイアル(Madelaine Royale)を交配した品種です。
ケルナーは、トロリンガー(Trollinger)とリースリング(Riesling)を交配した品種です。
ドイツのワイン法
ドイツのワインの法律では、産地の表示と収穫時のブドウの糖度に関する規定があります。
産地の区分
- ベシュテムテス・アンバウゲビート(Bestimmtes Anbaugebiet)
- ランドヴァイン(Landwein)
- べライヒ(Bereich)
- グロースラーゲ(Grosßlage)
- アインツェルラーゲ(Einzellage)
最上位のベシュテムテス・アンバウゲビートには13地域が認められており、これらの地域で生産されるワインは品質分類におけるクヴァリテーツヴァイン以上になります。
ランドヴァインには26地域が認められています。
ベライヒとは地区のことで、ベシュテムテス・アンバウゲビートの地域は地区に分けられており、全部で41の地区があります。
さらに、べライヒの中には集合畑(グロースラーゲ)があり、集合畑を構成する単一畑(アインツェルラーゲ)があります。
品質の区分
ドイツワインの品質は3つの区分に分けられます。
- プレディカーツヴァイン(Prädikatswein)
- クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein)
- ランドヴァイン(Landwein)
ドイツでは緯度が高く、平均気温が低いため、ブドウが十分に熟さないことがありました。
それゆえ、アルコール度数も低くなる傾向があったため、補糖を行うことがあります。
プレディカーツヴァインとクヴァリテーツヴァインは、どちらもベシュテムテス・アンバウゲビートの13地域で収穫したブドウのみを使用しますが、その違いは補糖が認められるかどうかです。
プレディカーツヴァインは補糖が認められていません。プレディカーツヴァインは、収穫時のブドウの糖度により、さらに6段階に分けられています。
糖度による区分
先述した通り、プレディカーツヴァインは、エクスレと呼ばれる糖度の計測方法に従って6段階に分けれます。
- トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese):150~154エクスレ
- アイスヴァイン(Eiswein):110~128エクスレ
- ベーレンアウスレーゼ(Beerenauslese):110~128エクスレ
- アウスレーゼ(Auslese):83~100エクスレ
- シュペトレーゼ(Spätlese):76~90エクスレ
- カビネット(Kabinett):70~82エクスレ
アイスヴァインとベーレンアウスレーゼは同じ糖度(エクスレ)ですが、アイスヴァインは樹上で凍ったブドウを凍ったまま使用するのに対し、ベーレンアウスレーゼは加熱もしくは貴腐ブドウを使用します。
トロッケンベーレンアウスレーゼは干しブドウになった貴腐ブドウを使用します。
ドイツの主なワインの産地
ベシュテムテス・アンバウゲビートに認定されている13地域になります。
それぞれの位置は地図で確認できます。
- アール(Ahr)
- ミッテルライン(Mittelrhein)
- モーゼル(Mosel)
- ナーエ(Nahe)
- ラインガウ(Rheingau)
- ラインヘッセン(Rheinhessen)
- ファルツ(Pfalz)
- フランケン(Franken)
- ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstraße)
- ヴュルテンベルグ(Württemberg)
- バーデン(Baden)
- ザーレ=ウンストルート(Saale-Unstrut)
- ザクセン(Sachsen)

モーゼルはリースリングを使用した白ワインの名産地です。白ワイン用のブドウの栽培面積が9割を超えています。
ドイツ最大のワインの産地はラインヘッセンになります。ファルツ、バーデンと続きます。
アールはドイツでは珍しく赤ワイン用のブドウの栽培面積が約8割を占めています。
栽培面積が最小なのはヘシッシェ・ベルクシュトラーセです。
ドイツ最北の産地はザーレ=ウンストルートになります。
終わりに
ドイツの説明は以上になります。
ドイツは名称が読みにくく、覚えにくいのが難点ですが、分類基準そのものは分かりやすいのではないかと思います。
糖度による分類は、オーストリアでも見られますが、少し異なるので混同しないよう注意が必要です。