非人称動詞(les verbes impersonnels)の説明になります。
非人称動詞とは、人称代名詞の単数形三人称ilのみを主語にする動詞のことです。
非人称動詞には、元から非人称動詞であるものと他の動詞が非人称動詞になる2つのパターンが存在します。
はじめに、元来の非人称動詞について紹介します。
元来の非人称動詞
falloir
falloirは英語のmust・haveに相当する非人称動詞で「〜しなければならない」「〜する必要がある」と訳されます。
活用はil fautになります。
① il faut+動詞(不定詞)
Il faut se dépêcher pour arriver à l’heure.
時間通りに着くためには急がなければならない。
② il faut+que〜
上の例文をqueを使って書き換えることも可能です。
Il faut que nous nous dépêchions pour arriver à l’heure.
se dépêcherは接続法現在。
③ il faut+冠詞・数詞・数量副詞+名詞
Il faut une balle et deux raquettes pour jouer au tennis.
テニスをするためにはボール一個とラケット二本が必要です。
Il faut plus de temps!
もっと時間が必要だ!
s’agir
非人称動詞s’agirは「〜に関してである」「〜の問題である」と訳すことができます。
活用はil s’agit de〜となります。必ずdeがきます!
Il s’agit d’un problème de batterie que l’ordinateur ne marche pas.
パソコンが動かないのはバッテリーの問題である。
Quand il s’agit de musique, il n’écoute que le jazz.
音楽に関しては、彼はジャズしか聴かない。
天候に関する動詞
neiger(雪が降る)、pleuvoir(雨が降る)のような天候に関する動詞も非人称動詞です。
Ce matin, il neigeait.
今朝、雪が降っていた。
他の動詞が非人称動詞になる
次は、非人称動詞ではない動詞が限られた場合において、非人称動詞になるケースです。
il y a
「〜がある」という表現で、英語のthere isやthere areに相当します。
aはavoirの現在形です!
Il y a des cerisiers dans le jardin.
庭に桜の木があります。
「〜があった」という場合は、avoirの半過去を使います。
Au 17ème siècle, il y avait un château au centre de cette ville.
17世紀には、この街の中心に城がありました。
il est+時間
時間を表す時はêtreの現在形を使います。
Il est 14h.
14時です。
Il est midi.
正午です。
il est+形容詞
interdit(〜禁止である)・(im)possible(〜するのは(不)可能である)など、特定の主語を取るのではなく、一般的なことを表す場合はil est+形容詞を用います。
Il est interdit de toucher ces peintures.
これらの絵画を触ることは禁じられている。
非人称動詞の練習問題
カッコ内に適切な非人称動詞を入れて下さい。
① Il ( )prendre l’avion pour aller aux Etats-Unis.
アメリカ合衆国に行くためには飛行機に乗らなければなりません。
② Quand il( ), il ( )un parapluie.
雨が降っている時は傘が必要です。
③ Il( )impossible d’ouvrir cette porte sans clé.
鍵なしでこの扉を開けることは不可能です。
④ Il( )des glaces dans le congélateur.
冷凍庫の中にアイスがあります。
解答
① Il faut prendre l’avion pour aller aux Etats-Unis.
② Quand il pleut, il faut un parapluie.
③ Il est impossible d’ouvrir cette porte sans clé.
④ Il y a des glaces dans le congélateur.